クラシック用語 ハ
パッセージ
「パッセージ」とは、音楽用語の一つで、楽曲の中での短い旋律やフレーズ、または演奏技巧を指します。
パッセージは、一般的に速いテンポで演奏され、印象的な効果を生み出すために使用されます。特に、バロック音楽期には、多彩なパッセージ技法が発展し、独特な音楽性を生み出すことができました。また、古典派音楽期には、パッセージが重要な音楽的要素となり、技巧的な演奏技術を要求する作品が多数作曲されました。
パッセージは、ソロ演奏やコンチェルト、または独奏楽器とオーケストラの間で行われる応酬など、様々な場面で用いられます。また、パッセージを演奏することによって、演奏者の技術力や表現力をアピールすることができるため、コンサートなどの演奏会において、多くの場面で用いられています。
バッソ・オスティナート
「バッソ・オスティナート」とは、音楽用語の一つで、一定のリズムと旋律で繰り返される低音パターンのことを指します。英語では、「ground bass」とも呼ばれます。
バッソ・オスティナートは、バロック音楽期に広く用いられた技法で、主に器楽曲や声楽曲の伴奏部分に用いられます。この技法では、一定のリズムと旋律で繰り返される低音パターンが定められ、その上にメロディーが重ねられます。バッソ・オスティナートは、一定の安定感を与えるため、曲の進行を統一させる効果があります。
また、バッソ・オスティナートは、多くの場合、変化の少ない単純な旋律を用いられるため、装飾音やフレーズなどの音楽的効果を重視するバロック音楽において、演奏者の表現力が重要とされています。例えば、ヴィヴァルディの「四季」の中の「冬」や、バッハの「パッサカリアとハ短調のフーガ」など、多くのバロック音楽の作品に、バッソ・オスティナートの技法が用いられています。
バップ
「バップ (Bebop)」は、ジャズのジャンルの一つで、1940年代にアメリカ合衆国で発展した音楽です。ビバップとも呼ばれます。
バップは、従来のスウィング・ジャズに比べ、高速で複雑な旋律、モダンなハーモニー、アドリブ・ソロの多用など、より技巧的で音楽的に複雑な表現を追求する音楽性を持ちます。また、バップは、楽器演奏者たちのインプロヴィゼーションによって作られることが多く、スウィング・ジャズのように踊るための音楽としてではなく、聴くための音楽として発展しました。
バップは、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、セロニアス・モンク、バド・パウエル、マックス・ローチなど、多くの偉大なジャズ・ミュージシャンによって開発され、普及しました。また、ビバップのスタイルは、後のモダン・ジャズやフリー・ジャズ、コンテンポラリー・ジャズにも影響を与え、現代のジャズにおいても重要な位置を占めています。
バディネリ
「バディネリ (badinerie)」は、フランス語で「戯れ」という意味の言葉で、バロック音楽において、軽快で陽気な旋律を持つ楽曲を指します。代表的な例として、バッハの「管弦楽組曲第2番 ロ短調」の終曲が挙げられます。
「バディネリ」という言葉は、音楽史上で特定の形式や楽曲を指す用語ではありませんが、バッハの「管弦楽組曲第2番」のように、明確な速度記号「バディナーゾ(badinerie)」が楽譜上に記載された例があります。この曲は、フルートのための独奏曲で、軽快でテクニカルなフレーズが特徴的です。
また、「バディネリ」という言葉は、広義にはバロック音楽全般において、陽気な性格を持つ楽曲を表す場合にも使用されることがあります。
ハバネラ
「ハバネラ (habanera)」は、キューバ発祥のリズムとダンスのことを指します。もともとは、キューバの首都ハバナで19世紀に流行したダンスで、その後、スペインやラテンアメリカなど広く世界中に広がりました。ハバネラは、3拍子で構成される曲で、低音部が刻みながら、上部ではメロディーが奏でられるのが特徴です。
音楽史上で最も有名なハバネラの作品のひとつは、ビゼーのオペラ『カルメン』に登場する「カルメンのハバネラ」です。この曲は、オペラの第1幕で、カルメンが登場する場面で歌われる有名な曲で、激しい情熱とセクシーさが表現されています。
また、ハバネラは、その陽気なリズムやメロディーから、ジャズやポピュラー音楽にも影響を与えており、多くの楽曲でハバネラの要素が取り入れられています。