クラシック用語 ハ
ハミング
「ハミング (humming)」は、口を閉じたまま、鼻から息を吸い込んで、喉や鼻腔で振動を起こしながら音を出すことを指します。単に口ずさむよりも、より深く集中して音を出すことが多く、特に瞑想やリラックス効果を得るために行われることがあります。
音楽の分野では、演奏前のリハーサルや曲作りの過程で、楽器の音や歌声を思い出しながら、口ずさむことがあります。また、楽器演奏時にハミングをすることで、リズム感や音程感を磨くこともできます。さらに、ボーカルパフォーマンスにおいて、息をコントロールするためにハミングを行うこともあります。
ハミングは、音楽以外の分野でも、集中力を高めたり、リラックス効果を得たりするために行われることがあります。また、ハミングによって発生する振動は、体に良い影響を与えるとされており、一定の周波数で振動を発生させる装置も販売されています。
バラード
「バラード (ballad)」は、物語や詩を歌ったり演奏したりする楽曲の一種で、通常はスローテンポで、感傷的でロマンチックな雰囲気を持っています。
バラードは、古くはイギリスやスコットランドなどで語り継がれてきた口承文学に由来する楽曲形式で、民間伝承の物語を歌詞にして、ギターやリュートなどの弦楽器に合わせて演奏されました。その後、バラードは、アメリカ合衆国で発展し、ジャズやポピュラー音楽にも取り入れられるようになりました。
一般的に、バラードは、恋愛や人生の悲喜こもごもなど、感情豊かなストーリーを歌詞にして、しっとりとした旋律や歌唱法で表現されます。代表的なバラード曲としては、エルトン・ジョンの「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」や、ビートルズの「イエスタデイ」などが挙げられます。
パラフレーズ
「パラフレーズ (paraphrase)」は、言葉や文章を別の言葉や文章に言い換えることを指します。狭義には、元の文章の意味を変えずに言い換えることを指し、広義には、元の文章の意味をより明確にしたり、言い回しを変えたりすることも含まれます。
音楽の分野においては、パラフレーズは主に既存の曲を基にして作られた新しい楽曲を指します。例えば、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」は、アリアと30の変奏からなる楽曲であり、そのアリアを基にしたパラフレーズ作品も多数存在します。
また、パラフレーズは、音楽以外の分野でも使われる言葉の技法です。例えば、文学においては、元の文学作品をリライトすることで、その作品の意味やテーマをより深く掘り下げることができます。また、教育の分野でも、教材を言い換えたり、別の表現方法で説明することで、学生たちが理解しやすくなることがあります。
バリエーション
「バリエーション (variation)」とは、ある主題に対して、その主題のリズムやメロディーを変えた音楽の形式を指します。バリエーションは、主題の再現を含むことが一般的ですが、変奏が繰り返されるたびに、既存のメロディーやリズムが変化していきます。
バリエーションは、音楽において非常に一般的な形式の一つであり、クラシック音楽やジャズ、ポップスなど、様々なジャンルで用いられています。例えば、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」やベートーヴェンの「交響曲第9番」のフィナーレ部分における「歓喜の歌」は、バリエーションの形式で作曲されています。
バリエーションは、作曲家や演奏者によって様々なアレンジがなされることがあります。また、即興演奏においては、即興でバリエーションを加えることができるため、ジャズや即興演奏を得意とするミュージシャンたちにとっては重要な技術の一つとなっています。
バリトン
「バリトン (baritone)」は、音域がテナーとベースの中間にある男性用の声部、またはその声域を持つ歌手を指します。一般的には、テナーとベースの声域の間に位置するため、テナーのように高い音やベースのように低い音を出すことができます。
バリトンは、オペラや合唱曲、宗教音楽、ジャズなどの様々なジャンルで使われる声部の一つであり、しばしばソロパートを担当します。また、バリトンは、バリトン・サックスやバリトン・ウクレレなどの楽器の名前にも用いられています。
バリトンは、声楽の中でも特に多彩な声域を持つため、音楽のジャンルや作曲家の意図によって、様々な役割を担うことができます。たとえば、オペラにおいては、バリトンがヴェルディの「リゴレット」のタイトルロールを演じるような、力強く情熱的な役柄を演じることもあれば、軽妙な役柄やコミカルな役柄を演じることもあります。