クラシック用語 コ
呼吸記号
呼吸記号(Breath Mark)は、楽譜において、演奏者が息をするための場所を示す記号のことです。演奏者が適切な場所で息をつけることは、演奏の音楽的な表現や音楽性にとって非常に重要であるため、呼吸記号は楽譜上で非常に重要な役割を持ちます。
呼吸記号は、上向きの三角形の形をしており、楽譜上のどの位置にも書くことができます。通常、楽曲のフレーズの終わりや、長い休符の後など、自然な場所で息をするための目印として使用されます。呼吸記号が書かれていない場合でも、演奏者は適切な場所で息をつけることが望まれますが、呼吸記号が書かれている場合は、演奏者にとって非常に役立つ指示となります。
呼吸記号は、管楽器や声楽の楽譜によく使われますが、弦楽器や打楽器の楽譜でも時々使用されます。演奏者は、呼吸記号を読んで、自然な場所で息をつけるように心掛けることで、演奏をより表現豊かにすることができます。
黒人霊歌
黒人霊歌(Negro Spiritual)は、アメリカ合衆国南部のアフリカ系アメリカ人の音楽の一形式で、奴隷制度下での苦しみや抑圧から生まれた音楽です。多くは宗教的な歌詞が含まれており、歌詞やメロディーにはアフリカ文化の要素が強く反映されています。
黒人霊歌は、奴隷時代には奴隷たちの共同体の中で歌われていたもので、奴隷制度撤廃後も、アフリカ系アメリカ人のコミュニティで歌われ続けています。黒人霊歌は、歌唱力や楽器演奏技術よりも、歌詞の意味やメロディーの感情表現が重視される音楽であり、しばしば合唱団やコーラスグループによって演奏されます。
黒人霊歌の代表的な曲としては、「スウィング・ロウ・スイート・チャリオット」や、「ゴー・ダウン・モーゼス」、「ノーバディ・ノウズ・ジ・トラブル・アイ・シー」などがあります。これらの曲は、多くのアーティストによってカバーされ、世界中で愛され続けています。
国民楽派(日本)
国民楽派(こくみんがくは)は、日本の音楽史上、昭和初期に登場した音楽運動の一つで、西洋音楽の中でも、日本民謡や伝統音楽など日本の音楽素材を用いた楽曲を創作する運動です。
国民楽派の代表的な作曲家としては、中山晋平、世良譲、杉本眞人、中田喜直、山田耕筰などが挙げられます。彼らは、日本民謡や日本の伝統音楽を研究し、それを基に西洋音楽の技法や様式を取り入れ、新しい音楽を創り出しました。
国民楽派は、当時の日本が西洋音楽や文化に熱狂していた中で、日本独自の音楽文化を育成することを目指していました。また、国民楽派の音楽は、国家主義的な要素を含むこともあり、戦時中には軍部からも支持されました。
現代でも、国民楽派の作品は、日本音楽の重要な遺産として扱われ、多くの人々に愛され続けています。
国民楽派(ヨーロッパ)
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパの各国で起こった音楽運動で、各国独自の伝統音楽や民俗音楽を取り入れ、新しい音楽を創作することを目指していました。
国民楽派の代表的な作曲家としては、フィンランドのジャン・シベリウス、ハンガリーのベラ・バルトーク、チェコのアントニン・ドヴォルザーク、ポーランドのフレデリック・ショパン、ノルウェーのエドヴァルド・グリーグなどが挙げられます。
これらの作曲家たちは、各国独自の音楽素材を取り入れ、それを西洋音楽の技法や様式に翻訳することで、新しい音楽を創作しました。彼らの作品は、各国の文化や歴史を反映した音楽であり、それぞれの国民にとって、誇りとなる音楽運動となりました。
国民楽派は、当時のヨーロッパにおいて、音楽の民主化や国民文化の重要性が認識される契機となりました。現代でも、国民楽派の作品は、各国の音楽文化の重要な遺産として扱われ、多くの人々に愛され続けています。
ゴスペル
ゴスペルは、アフリカ系アメリカ人のキリスト教徒が歌う合唱音楽で、黒人霊歌の一種です。元々は、19世紀半ばに南北戦争後のアメリカで生まれた黒人霊歌が、20世紀に入って発展したものです。
ゴスペルは、聖書のメッセージを歌詞に取り入れ、それを強く表現するために、ソウルフルなメロディーやリズム、ハーモニーを用いています。また、合唱形式で歌われることが多く、パワフルなコーラスが特徴的です。ゴスペルは、黒人奴隷制度の過酷な状況から、希望や信仰を見出すために生まれた音楽であり、アメリカの音楽史においても重要な位置を占めています。
ゴスペルは、アメリカ以外にも世界中で愛され、多くのアーティストによってカバーされています。また、近年では、一般的なキリスト教音楽として、教会や宗教行事などでも歌われるようになっています。