クラシック用語 ト

トリオ

「トリオ (trio)」は、一般的には3人のグループや、3つの要素から成るものを指します。音楽においては、様々な意味で使われます。

最も一般的には、3つの異なる楽器(または声部)が演奏するアンサンブルを指します。例えば、ピアノトリオは、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの3つの楽器から成るアンサンブルを指します。また、ギタートリオやサクソフォントリオなど、楽器の種類によって様々なトリオがあります。

また、クラシック音楽のソナタや交響曲などの楽曲形式においては、「トリオ」という名称が出てくる場合があります。これは、曲の中でテンポや音響効果を変化させるために、通常の楽器編成から3つの楽器(または楽器グループ)による別の演奏形態に移行することを指します。このようなトリオは、曲の中で一時的に展開され、後に元の楽器編成に戻ることが一般的です。

さらに、ジャズやポピュラー音楽においては、ピアノ、ベース、ドラムなどの特定の楽器編成の3人グループを指す場合もあります。

トリオ・ソナタ

トリオ・ソナタ (Trio Sonata) とは、バロック音楽において広く用いられた楽曲形式のひとつで、通常は2つのメロディ楽器(ヴァイオリン、フルート、オーボエなど)と低音楽器(通常は通奏低音によるチェンバロ、オルガン、チェロなど)の3つの楽器によって演奏される。

トリオ・ソナタは、イタリアの作曲家コレッリが創始したとされ、後にドイツ、フランス、イギリスなどの作曲家によって発展された。トリオ・ソナタは、ソナタ形式に基づく楽曲が多く、一般に速い楽章、緩徐楽章、舞曲(ガヴォットやメヌエットなど)から構成される。

トリスタン和音

トリスタン和音 (Tristan chord) は、ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーがオペラ「トリスタンとイゾルデ」の序奏で使用した和音で、音楽史上において重要な役割を果たした和音のひとつです。

トリスタン和音は、演奏された瞬間に聴衆に強い印象を与える和音で、和声のルールに従っていない独特な響きを持っています。この和音は、通常の和声の進行では、ありえない不協和音となっており、ドイツ音楽理論家のシェンカーは、トリスタン和音を「不協和の究極」と表現しています。

ワーグナーは、この和音を用いることで、音楽の既成概念に挑戦し、音楽的な表現力を大きく広げることができたとされています。

トリル

トリル (Trill) は、音楽用語の一つで、ある音符を速く交互に上下する音のことを指します。音符を速く交互に上下させることで、音に揺れ動きや震えるような効果を与え、音楽的な表現力を高めることができます。

トリルは、通常は音符の上に波線(~)や「tr」の記号が書かれて示されます。トリルは、バロック音楽や古典派音楽など、クラシック音楽の多くの作品で使用されます。

ドルチェ

ドルチェ (Dolce) は、イタリア語で「甘美な」「柔らかな」などを意味する言葉で、音楽用語としては「甘美な演奏」「柔らかい演奏」といった意味で使用されます。

演奏においては、音色や強弱を柔らかくし、優しく、美しく演奏することを指します。ドルチェは、音楽の表現力を豊かにするために用いられる表現手法のひとつです。また、ドルチェの記号は、「♪」のように書かれることがあります。