クラシック用語 キ

器楽曲

「器楽曲」(きがくきょく)とは、声楽や歌詞がない楽曲で、楽器だけで演奏される音楽のことを指します。一般的には、オーケストラ、室内楽、ピアノ独奏曲、器楽合奏曲、協奏曲、ソナタなどが代表的な器楽曲のジャンルとして挙げられます。

器楽曲は、歌詞がないため、音楽の世界観やメロディー、リズム、和声など、純粋に音楽的な要素が重視されます。演奏者は、楽器を通じて音楽の表現力を高め、聴衆にその音楽世界を伝えることが求められます。

器楽曲は、クラシック音楽だけでなく、ジャズやロック、ポップスなどのジャンルにも存在します。また、映画音楽やテレビドラマのBGMなどにも用いられ、物語や情景を表現するための音楽として、広く親しまれています。

奇想曲

「奇想曲」(きそうきょく)は、クラシック音楽における管弦楽曲や器楽曲のジャンルの一つで、比較的自由な形式で作曲される、楽曲の表現や演奏技巧において、特に独創性や独特のイメージを求めた作品を指します。

奇想曲は、音楽史上、有名な作曲家たちによって多数作曲されており、特にピアノやバイオリンのための作品が多く、ヴィルトゥオーゾのために作曲されることが多いです。一例として、ショパンの「幻想即興曲」や、「革命」エチュード、リストの「トランスクリプション」などが挙げられます。

奇想曲は、その作品ごとに多彩な音楽的アイデアや技巧が盛り込まれており、聴衆を驚かせたり、感動させたりするような作品が多いとされています。また、一般的にクラシック音楽の中でも、比較的軽快で聴きやすい曲調のものが多く、初心者から上級者まで幅広い音楽ファンから親しまれています。

機能和声

「機能和声」(きのうわしょう)は、西洋音楽における和声法の一つで、和音の音程関係と役割を定め、それに基づいて和声進行を行う方法論です。

機能和声では、基本的に7つの音階音にそれぞれ番号が付けられ、それぞれの音に特定の役割が与えられます。例えば、第1音は主和音の根音として重要な位置を占め、第5音は属和音の根音として、緊張感のある和声進行に用いられます。また、第4音は、IV度の転回形である第2音として、旋律的な役割を持ち、第7音は、VII度の転回形である第2音として、和声的な解決を担うなど、それぞれに定められた機能があります。

機能和声においては、和声進行は、基本的に主和音、属和音、準固有和音など、特定の和音から出発して、それに続く和音にある種の法則があります。また、これらの和音を組み合わせることで、音楽の中での緊張感や解決感を生み出すことができます。

機能和声は、西洋音楽の中心的な和声法として受け継がれ、古典派音楽やロマン派音楽、現代音楽においても、広く用いられています。

キリエ

「キリエ」は、キリスト教のミサや聖公会礼拝などにおいて、最初に歌われる讃美歌の一つで、慈悲を求める祈りの歌です。

「キリエ」は、ギリシャ語の「Kyrie eleison(キリエ・エレイソン)」に由来しており、その意味は「主よ、憐れみ給え」や「主よ、あわれみたまえ」などと訳されます。歌詞は、教会スラヴ語やラテン語、英語など様々な言語で歌われることがあります。

「キリエ」は、ミサや礼拝の最初の讃美歌として歌われることが多く、一般的には、三部形式(ABA)に沿って歌われます。最初に「キリエ」と繰り返し歌われるAパート、中間部分のBパート、そして再び「キリエ」と繰り返し歌われるAパートからなります。

「キリエ」は、中世から現代に至るまで、数多くの作曲家によって作曲され、多彩な音楽的表現が試みられてきました。有名な作曲家には、モーツァルト、ベートーヴェン、フランク、フォーレ、プーランクなどがいます。

狂詩曲

「狂詩曲」(きょうしきょく、フランス語:rhapsodie)は、19世紀に誕生した音楽のジャンルの一つで、自由な形式で作曲された器楽曲のことを指します。狂詩曲は、詩的なイメージや情緒を音楽によって表現することを目的としており、しばしば旋律的な自由度が高く、複数の楽章を持つこともあります。

狂詩曲は、主にピアノ、管弦楽、協奏曲の形式で作曲されます。有名な狂詩曲としては、フランツ・リストの「ハンガリー狂詩曲」、セルゲイ・ラフマニノフの「狂詩曲第2番」、ヨハネス・ブラームスの「ハンガリー舞曲第2番」などがあります。

狂詩曲は、古代ギリシャの「狂詩歌」という詩形に由来しており、その名前もその影響を受けています。狂詩曲は、自由な形式で作曲されるため、旋律や和声、リズムなどが自由に変化し、様々な音楽的要素が複雑に絡み合って表現されます。そのため、聴き手にとっても魅力的な音楽として人気があります。