クラシック用語 タ
ターフェルムジーク
「ターフェルムジーク」(Tafelmusik) は、バロック時代において、宮廷や貴族のために演奏された音楽のことを指します。ドイツ語で「食卓の音楽」という意味があり、食事をしながら演奏されることが多かったためにこのように呼ばれました。
ターフェルムジークは、器楽曲が中心であり、主に宮廷内で演奏されることが多かったため、大規模な管弦楽団で演奏されることは少なく、室内楽の形式が主流でした。また、舞曲や器楽協奏曲、宗教音楽、歌曲などが演奏されました。
代表的な作曲家として、ヨハン・ゼバスティアン・バッハやゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル、ゲオルク・フィリップ・テレマンなどが挙げられます。これらの作曲家たちは、自身が仕えていた宮廷や貴族に対して、ターフェルムジークのための作品を多く残しています。
タイ
「タイ」は、楽譜において、音符の持続時間を表す記号の一つです。英語では「tie(タイ)」と呼ばれます。
タイは、同じ高さの音符をつないで一つの音符として扱うために用いられます。具体的には、直前に出現した音符と同じ高さで演奏される別の音符にタイを付けることで、その二つの音符をつなげて一つの音符として演奏することができます。タイを付けた音符は、その分だけ長く演奏されることになります。
例えば、4分音符と8分音符が交互に現れるリズムを演奏する場合、2つの8分音符のうち、前半の8分音符にタイを付けることで、4分音符と同じく2拍分の持続時間を持つ音符として演奏することができます。
タイは、楽譜の中でも比較的頻繁に使用される記号の一つであり、音符の持続時間を正確に表現する上で欠かせないものです。
対位法
「対位法」(たいいほう)は、音楽の作曲技法の一つで、複数の旋律を同時に演奏することで、それらの旋律が調和的に結びつくようにする技法です。
具体的には、対位法では、複数の旋律が同時に演奏される場合でも、各旋律は独立して存在する必要があります。つまり、どの旋律も自立的であり、一方の旋律が主導的な役割を果たすことはありません。また、旋律同士が調和的に結びつくためには、旋律同士の音程やリズムが整合性を持つ必要があります。
対位法は、西洋音楽において広く用いられる作曲技法の一つであり、バロック音楽期において特に重要な役割を果たしました。代表的な作曲家として、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが挙げられます。バッハは、対位法を用いた多数の作品を残しており、その中には、2声から8声までの多声音楽や、カノン、フーガなどが含まれています。
大かっこ
「大かっこ」は、音楽の楽譜において、演奏上の指示や補助的な情報を記載するために用いられる記号の一つです。英語では、「bracket(ブラケット)」と呼ばれます。
大かっこは、通常、楽譜の左端や上部に描かれ、その中に記載される指示や情報は、楽譜の一部分にのみ適用されることが多いです。例えば、大かっこ内に「pizz.」と書かれている場合は、「pizzicato(ピチカート)」すなわち「弦をはじいて演奏する」という指示が、その大かっこ内にある音符に対してのみ適用されることを示します。
大かっこは、楽器ごとの指示や、楽器のグループに対する指示、楽曲の構成に関する情報、演奏上の指示(例えば「強く」や「速く」など)など、さまざまな情報を記載するために使用されます。また、大かっこ内に小かっこがある場合もあり、その場合は小かっこ内に更に補足的な情報が記載されることがあります。
大かっこは、楽譜の読み方において重要な役割を果たしており、楽器演奏の際に必要な情報を正確に伝えるために欠かせない記号の一つです。
ダイナミックス
「ダイナミックス」は、音楽の演奏における音量や強弱の変化を指す言葉です。英語での表記は「dynamics」です。
楽譜上では、ダイナミックスを表す記号が使われます。例えば、音符の上に「p」(piano)と書かれている場合は、「弱く演奏する」という意味になります。逆に、「f」(forte)と書かれている場合は「強く演奏する」という意味になります。また、これらの記号を組み合わせた「mp」(mezzo-piano)や「mf」(mezzo-forte)などもあります。これらは、「中くらいの音量で演奏する」という意味合いがあります。
楽器演奏においては、ダイナミックスの変化は、音楽の表現力を豊かにするために重要な要素の一つです。適切なダイナミックスの使い方によって、音楽に深みや広がりが生まれ、聴き手に感情的な印象を与えることができます。また、ダイナミックスは、アンサンブル演奏においても重要な役割を担っています。演奏者同士がダイナミックスを調整することで、より一体感のある演奏を実現することができます。