クラシック用語 チ

チェルニー

チェルニー (Cherny) は、ピアノの練習曲集「初心者のための練習曲集」(原題:"School of Velocity")を著したドイツの作曲家、ヨハン・フリードリヒ・ブルクミュラー(Johann Friedrich Burgmüller)の別名またはペンネームの一つです。この練習曲集は、ピアノ初心者に向けた技術的な練習曲が多数収録されており、特に指のテクニックや速弾きの練習に役立ちます。

チェルニーの名前は、同じくピアノの練習曲集を著したカール・チェルニー(Carl Czerny)と混同されることがあるため、注意が必要です。カール・チェルニーは、19世紀初頭のウィーンで活躍したピアノ教師であり、数多くの練習曲やピアノ教則本を著し、ピアノの指技術や演奏技術の向上に大きな貢献をしました。

チェレスタ

チェレスタ (celesta) は、鍵盤楽器の一種で、鉄琴と似た音色を持つ楽器です。一般的に、銅板の鍵盤を備え、鍵盤を押すことで、打鍵部分に取り付けられたハンマーが金属製の音板を叩くことで音を発します。その音色は、比較的高音域に位置し、キラキラとした、幻想的な響きを持っています。

チェレスタは、19世紀末にフランスで開発され、初めて公開されたのは1886年のパリ万博でした。初めは"céleste"(セレスト)という名前で呼ばれ、管弦楽曲などで使用されるようになりました。特にクラシック音楽では、ツィンマーマンの「くるみ割り人形」や、ドビュッシーの「月の光」など、多くの作品でチェレスタが使われています。また、映画音楽においても、ハリー・ポッターシリーズなどで使用されたことで、一般的な楽器として知られるようになりました。

チェンバロ

チェンバロ(harpsichord)は、鍵盤楽器の一種で、鍵盤を押すことで、弦を撥(ひ)で弾くことによって音を出す楽器です。中世からルネサンス期にかけて発展し、バロック期には大きく発展して使用されました。ピアノと似た外見をしていますが、響板の中に張られた弦を、キーを押すことで弾くことによって音を出すため、弦を強く叩くピアノとは異なり、音の鳴り方や音量に限りがあります。

チェンバロは、古楽器演奏の中心的な楽器で、バロック音楽の演奏に広く使用されます。バッハやヘンデルなどの作曲家が、数多くのチェンバロ曲を残しており、バロック音楽の重要な音色として位置づけられています。また、クラシック音楽以外でも、現代音楽やポップスなどで使用されることもあります。

チャイコン

「チャイコン」という言葉は、一般にピョートル・イリイチ・チャイコフスキーが作曲したバレエ音楽「くるみ割り人形」の第二幕の中で、中国の踊り手たちが使う楽器として登場することから広く知られるようになりました。

このバレエ音楽「くるみ割り人形」の中でチャイコンが使用される場面では、中国の踊り手たちが、チャイコンを持ち、それを鳴らしながら踊りを披露する場面が描かれます。この音楽は、チャイコンの明るく躍動感のある音色が特徴的で、バレエ音楽の中でも有名な楽曲の一つとなっています。

なお、バレエ音楽「くるみ割り人形」の中で登場する楽器には、チャイコンの他にも、ゴングやトライアングル、シンバル、ハープなどがあり、華やかな音楽的効果を生み出しています。

チャルダッシュ

チャルダッシュ(Csárdás)は、ハンガリー民俗音楽の一種で、主にヴァイオリンやチェンバロ、チェロ、コントラバスなどの弦楽器を中心に演奏されます。また、管楽器や打楽器も加わることがあります。

チャルダッシュは、舞曲としても知られており、ハンガリーの踊りの一つで、速いテンポの部分と遅いテンポの部分から構成されます。速い部分は、アップビート(強拍の前)から始まり、激しいリズムとテクニックを要求する演奏が特徴的です。遅い部分は、落ち着いたテンポで、旋律の美しさが際立ちます。

チャルダッシュは、19世紀から20世紀初頭にかけて、ハンガリー民族主義運動の中で大きな人気を博し、ハンガリーを代表する音楽の一つとなっています。また、クラシック音楽の分野でも、ブラームスやリストなどの作曲家が、チャルダッシュを題材にした楽曲を残しており、その影響力は広く世界的に知られています。