クラシック用語 コ
交響曲
交響曲(Symphony)は、オーケストラのための楽曲の中でも最も重要なジャンルの一つです。4つの楽章から成り、様々な楽器の重層的な響きや、豊かな音楽的展開が特徴的です。交響曲は、古典派音楽から始まり、ロマン派音楽や現代音楽に至るまで、多くの作曲家によって作曲されてきました。
交響曲は、一般的に以下の4つの楽章から構成されます。
1.序奏(Allegro) 最初の楽章で、力強く荘厳な音楽が演奏されます。様々な主題が提示され、展開されます。
2.緩徐楽章(Adagio) 2番目の楽章で、静かで穏やかな音楽が演奏されます。しばしば、美しい旋律が特徴的です。
3.スケルツォ楽章(Scherzo) 3番目の楽章で、軽快なリズムが特徴的です。しばしば、ダンス音楽のような楽曲が演奏されます。
4.フィナーレ楽章(Finale) 最後の楽章で、力強く壮大な音楽が演奏されます。最後は、しばしば堂々とした主題で締めくくられます。
交響曲は、オーケストラ全体で演奏されるため、様々な楽器が組み合わさった多彩な音楽が楽しめます。また、交響曲は、作曲家の音楽的表現力を最もよく示すジャンルの一つとされ、多くの作曲家によって、傑作が作曲されています。代表的な交響曲作曲家には、ベートーヴェン、ブラームス、マーラー、ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキーなどが挙げられます。
交響詩
交響詩(Symphonic poem)は、19世紀にハンガリーの作曲家リスト・フェレンツによって創始された、オーケストラのための一大ジャンルです。交響詩は、物語や詩、絵画などからインスピレーションを得て作曲され、オーケストラを使って音楽的に表現することを目的としています。
交響詩は、通常、1つの楽章から成り、主題や情景を表現する音楽が展開されます。楽曲の中には、多くのリズムやメロディが登場し、様々な音色を聴くことができます。また、交響詩はオーケストラによる演奏を特徴としており、各楽器の音色や響きを最大限に生かす音楽です。
交響詩の最初期の例は、リスト・フェレンツの『テンペスト』(1849年)や『レ・プレリュード』(1854年)などです。その後、リムスキー=コルサコフの『シェエラザード』(1888年)やシベリウスの『フィンランディア』(1899年)など、多くの作曲家が交響詩を作曲し、オーケストラ音楽の重要なジャンルとして確立されました。
行進曲
行進曲(March)は、軍隊やパレード、式典などで演奏される音楽のジャンルです。主に軍隊の行進のために作られた曲であり、一定のリズムとメロディによって進行方向やリズムを合わせる役割を持っています。
行進曲は、通常、4分の2拍子で書かれ、堅固で力強いリズムが特徴的です。また、通常は管弦楽によって演奏されることが多く、トランペットや太鼓、シンバルなどの打楽器を多用した華やかな演出が特徴的です。
行進曲は、軍隊だけでなく、スポーツの試合やパレード、大学の入学式や卒業式、社交ダンスのプログラムなどでも広く使われています。代表的な行進曲としては、ジョン・フィリップ・スーザの『星条旗よ永遠なれ』(1896年)や、エルガーの『威風堂々』(1901年)などがあります。
五音音階
五音音階(Pentatonic Scale)は、西洋音楽においても広く用いられる音階の一つで、五つの音符から成る音階のことを指します。通常は、ド、レ、ミ、ソ、ラの五つの音を使って構成されます。
五音音階は、古代から世界各地で広く使用されており、特に東アジアの音楽においては非常に重要な地位を占めています。中国の伝統音楽である琴や箏、日本の琴、韓国の梨花壇(イファダン)など、多くの楽器が五音音階を基盤にしています。
また、西洋音楽においても、ブルースやロックなどのジャンルで頻繁に使用されます。五音音階は、構成音が少なく、シンプルで明快なメロディを作ることができるため、耳に覚えやすく、ポピュラー音楽の中で広く使われています。
古楽
古楽(Early Music)は、中世からバロック期にかけての西洋音楽の演奏において、当時の演奏技法や楽器を再現することを目的とした音楽のジャンルです。古楽演奏家たちは、古楽器の復元や、当時の奏法や装飾法などを研究して、当時の音楽を再現するように努めています。
古楽演奏の特徴としては、ヴィブラートを控えめに使うこと、音色に工夫を凝らすこと、細かい装飾を加えること、弦楽器では通常の音程よりも低いチューニングを使うことなどが挙げられます。また、現代のオーケストラとは異なる楽器編成を用いることも一般的で、バロックオーケストラでは、弦楽器や管楽器の他に、チェンバロやリュートといった鍵盤楽器や弦楽器も使われます。
古楽の代表的な作曲家には、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ、クラウディオ・モンテヴェルディ、ウィリアム・バード、ジョン・ダウランド、ヘンリー・パーセルなどがいます。古楽演奏家たちは、これらの作曲家の楽曲を復元し、当時の音楽を再現することで、音楽史の研究や、新たな音楽体験を提供しています。